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溶射は高硬度、高強度、耐摩耗、防錆、耐食、耐熱、断熱、導電性、絶縁性などの機能性を基材表面に与えるために有効な表面コーティング技術である。この技術は日進月歩の発展を続け、現在大型構造物から小型機械の部品の表面改質に優れた特性を付与させる重要な加工技術に位置付けられていることは言を待たない。
近年、機械は高速化、長寿命化、そして高安全性などの高付加価値が求められている。この要求に応えるために、機械を構成する部品の表面改質として、溶射加工によるハードフェーシング技術が常用され、全産業分野において、その使用環境に耐え得る表面加工技術として着実に拡大し利用されている。
溶射技術による最大の特徴は親和性の異なる基材と皮膜を結合させることができることである。つまり、ハードフェーシング溶射の一例として金属基材に炭化物、酸化物、ほう化物などの高硬質セラミックスの溶射皮膜が形成できることである。一方、摩耗した機械部品の修復などのメンテナンス加工技術としても利用でき、世界的に省資源やリサイクルが叫ばれる中で、溶射加工は最適の表面改質加工技術と言える。
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21世紀は環境、福祉、情報、エネルギー関連の4本柱が主要産業として強く台頭してくると言われている。これらのいずれの産業にとっても、溶射加工技術は今後ますます深く関わってくることは明白である。20世紀は大量生産、多量消費の文明社会を作り上げ、それが常識化し、その結果、多量のごみを出し社会環境を悪化させて来た。特に環境先進国のヨーロッパでは、使用後の自動車部品や機械部品のリサイクル化が活発に行われている。上述したように摩耗した機械部品を甦らせるのに、溶射はますます重要な加工技術として、また省資源、リペア、リマニファクチュアリング、リサイクルの立場からも利用が一層拡大されるものと思われる。
さらに産業ロボットを始めとして高度生産加工分野におけるセンサー技術などを含む、エレクトロニクス部品にも溶射加工が利用され、またクリーンエネルギー源としての電池電極や防汚、防かび、殺菌に利用できる光触媒皮膜などの機能性材料の開発にも溶射加工の利用が進むだろう。このようにハードフェーシング溶射以外にも、溶射の特徴を生かした材料や機械部品が今後ますます開発され、先端材料の創製に大いに期待がもてる。また新溶射産業の創出にも繋がり、弾みのつく日も近いだろう。
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日本溶射協会 生田 稔郎 |
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